抑えこまれていた分の勢いをもって全身を駆け巡り
身体中からだ溢れ出そうとしていた快楽の波が、
唇から首筋をつわって、全身に伝わっていくのが見える。
ごく一部に触れたことで、触れていない部分が反応し始めている。
固く充血した乳首を指先で弄ぶ。
ほんのりとベールにつつまれたように火照り、
そのやわらかい色合いからは想像もつかない、
尖った感覚を感じている。
指先から伝わるのは痛みだけなのだろうか。
剥き出しにした神経に直接触れるように、敏感に反応する。
指先を、強く引き寄せてやると、眉間に皺を寄せ歯を食いしばる。
やがて痛みが引いたその後には、依然そこかしこに留まっている
悦びの感覚がもどってくることを知っているのだ。
力を入れた指先を、ふと緩める瞬間、弛緩した身体に、じんわりと
波紋が広がっていくように見える。
一回では足りない。
何度か指先に力をいれ、引っ張り、ねじることを繰り返しているうちに
痛みと快楽が交互に身体を覆っていく。カーペットに横たわってしまう。
近づいて、見下ろす。
荒い呼吸が、胸を上下に動いているものの、起き上がろうともしない、
力の抜けた身体が横たわっている。
うつむきかげんになっている身体を、つま先をつかって横向きにさせる。
なされるがまま。
つま先をつかって、まとわりついた髪を後ろによけ、
目を閉じたままの顔を露にしていく。
そのまま、つま先でゆっくりを顔の輪郭をなぞる。
足の裏を、頬にそっと当てる。
やわらかい頬の感触を感じながら、ゆっくりと左右に踏みにじる。
頬がひしゃげ、ゆがんだ唇から吐息をもらしながら、その表情には、
はっきりと、かすかな笑みが浮かび上がっている。