熱が出たときに脇にはさむ体温計のひんやりした感覚は、いやなものです。
ぼーっとしている間に、やがて体温計の存在すら意識しなくなる頃には体温が測れており、思ったより高かったり、低かったり。そんな経験は誰にもあるでしょう。
体温を測る・・・体温計を脇にはさみ、肌に直接触れるからこそ体温が伝わり、体温計の中の液体の温度が体温と同じ温度になり目盛りを示すのですね。
(最近は電子や音とか、ずいぶん様変わりして。ちょっと味気ないですが。)
あたかも客観的で一方的な現象のようでいて、実は、触れあい、融合した結果だからこそ、示される体温。日常、非日常を問わず、何かに触れるということは、触れるものも、触れられるものも、何らかの影響を受けるということは、意外と忘れがちなこと。狭い視点でみれば、一方的に与える、与えられるという関係であっても、時間も軸に加えた広い視点で見たときに、どうバランスできるかだと思います。
SM嗜好というものは、とかく一方的で断絶的なものとして捉えられがちですが。根っこの部分には、体温を測るのと同じような原理が働いているのではないかと思います。
ひんやりした瞬間も、同調した心地よさも。どちらもあるべくしてあるもの。その瞬間瞬間も味わい、じっくりと積み上げていくような世界を。創りあげていきたいものです。